ヤングアーチストピアノコンクールコンサート
審査員より一言

審査員より一言 五十音順
  
石川 哲郎 先生 20年を超える歴史を刻むヤングアーチストピアノコンクールに比較的早い時期から審査員として携わって参りました。その時間の経過のなかでの所感を若干述べてみたいと思います。
コンクールに参加することの意義は参加者の年齢によって若干異なるように思います。園児や小学校低学年の参加者に「大人のような」演奏は望むべくもなく、また望むべきではないでしょう。ただただ「年齢にふさわしい」自由で伸びやかな表現が望まれます。
ヤングアーチストピアノコンクールの大きな利点である素晴らしい会場と楽器による演奏、参加者のそれに至るまでの努力と心構えが演奏の瞬間に発露されるわけですが、そのことによって音楽のみならず、日常における感じ方や感情表現が格段の変化を遂げることがあります。これはまさにコンクール参加の醍醐味と言えるでしょう。
自我が確立された年齢層の参加者には審査員のコメントが自己確認あるいは自己評価の一助となるでしょう。ここではこのコンクールのさらなる特色である「評価の公平性」にたいする不断の改革努力が効力を発揮しているようです。このことは近年とみに巷間語られることも多く、これに対する信頼が参加者の意欲をいっそう掻きたてているように感じます。
参加者の「真の」音楽的発展が当コンクールの目的と感じています。
  
倉沢 仁子 先生
人は何故音楽に魅了されるのでしょうか?
皆さんはピアノを習い始めてから毎日努力を重ねていらっしゃいますね。ある程度基礎力がついたら今度はぜひ本番というステージで弾いてみましょう。そこでは練習室ではわからなかったこともたくさん見えてきますよ。普段と全く違った空間に置かれた違った楽器を前にして日頃努力してきた成果を発表してみましょう。きっと未知の国を旅するかのような新鮮な発見や驚きに感動することでしょう。
一つのステージに至る為には色々な人達とのいきいきしたコミュニケーションが生まれます。中でも参加するために集まってくるお友達は大切なライバルです。演奏は自分の心との戦いではありますが、良きライバルとの切磋琢磨することによって一層成長できますね。そして一つの本番で得た達成感はその後の人生におけるさまざまな局面での自信となりさらなる飛躍になるでしょう。
この夏のヤングアーチストピアノコンクール参加者の方々たちの水準はパワーに溢れた高いものでした。来年もまた私達、審査員を惹きつけてくれるフレッシュな才能に出逢えるのを楽しみにしております。
  
小林  光裕 先生
ヤングアーティストピアノコンクールによせて
8年前より毎年、就学前の小さな子供さんから、ご年配の方まで、幅広い参加者の演奏を聴かせていただいています。完成度の高い、素晴らしい演奏に出会うことも多く、ご家族や指導者の情熱を感じ、毎回恐れ入ってしまいます。今年、このコンクールの審査をさせていただいている中で、次の5つの言葉が繰り返し頭の中をよぎっていました。 それは、「性格」・「手首」・「間」・「バランス」・「線」です。「性格」曲のキャラクター、作曲者、時代、背景、ご本人の性格も入ります。 「手首」呼吸し、音、響きを作ります。「間」リズムを生かします。正確な音の長さ、音の切り方が大切です。「バランス」内声、バス、メロディー、無限の可能性があるでしょう。 「線」音の方向性、描かれるべき音の線。この5つがすべて整ったとき、確信のあるメッセージが生まれ、人々に伝わるのではないでしょうか?ステージという非日常的体験で得るものは、決して結果だけではなく、それまでの準備、新たな発見など計り知りえません。これからも多くの参加される方にとって、新しい自分と出合う場としての、価値あるステージにして欲しいと願っています。
   
櫻井 美佐子 先生 ヤングアーチスト協会専務理事 ヤングアーチストピアノコンクール発足当初より、企画・審査に携わって参りました。今年は記念すべき第25回を無事に終えることができ、ホッとしております。あっという間の25年間でしたが、その間にいろいろな演奏に出合うことができてとても嬉しく思います。小さいお子さんが舞台で一生懸命に弾いていらっしゃるのを聴いていると「本当に良く頑張りましたね」と、はなまるをつけたくなります。ある時は先生のご指導の元「よくそこまで表現できました」と感心させられます。
またある時は、思わず聴き入ってしまい講評を書くペンが止まってしまうほど感動してしまいます。それぞれの出演者さん達の将来(未来)の姿を想像しながら、またの機会に聴いてみたいと思うのです。
心に残るエピソードを1つ書きたいと思います。国際コンクールにも何度か足を運び聴かせていただいていますが、その中で2009年に開催された浜松国際ピアノコンクールで、ある1人の男の子(当時15歳)の演奏に出合いました。その時の感動、特に音色の美しさが忘れられず、ポーランドまで聴きに行きました。6年経った彼はすっかり成長なさっていて、会場の皆を魅了する、もはやピアニストでした。彼の優勝を確信したひとときでした。
   
澤田 勝行 先生 こんにちのコンクール隆盛は目を見張るものがあります。最近は演奏家への登竜門だけでなく、ステージ経験のために参加する方も増えてきています。賞を狙うのは当然ですが、将来音楽家として大成するためにコンクールを勉強のために活用することも良い手段だと思います。目標があればそこに向かって一層の努力をするし、それが本人のかけがえのない糧として蓄積されれば、十分に目的は達成されたと言えるでしょう。
  
重松 聡 先生 毎年さまざまなコンクールの審査に関わっていますが、ヤングアーチストピアノコンクールでは、課題が自由曲であることから、参加者それぞれが、実力と個性に合った曲目を、良いホールで伸びやかに演奏しています。よって、会場は競い合う場というより、発表会や演奏会の雰囲気もあり、私自身、こども達あるいは若者たちのひたむきで瑞々しい演奏に聴き入ることもしばしばです。半面、審査する立場としては、異なる曲目の演奏に対して優劣をつける事の難しさも痛感しますが、こうした場から、未来の輝かしいピアニストが生まれること、また緊張感をもって日々の努力の成果を発表することが、全参加者にとってこの上ない成長の節目となることを確信し、気を引き締めて採点、講評に当たっています。
   
武田 真理 先生 ヤングアーチストピアノコンクールも今年で21回目を迎えました。毎年審査員として聞かせて頂くのは楽しみです。
予選 セミファイナル ファイナルと勝ち残っていくのは容易ではありません。毎年確実にレベルも高くなっています。今のどのコンクールにもいえる情況ですが、皆同じようにある水準をこなしているのです。そこで優劣をつけるのは審査員としては大変なところです。どういうところで点数をつけているのかというとやはり演奏者のメッセージが届くか届かないかということは一番のポイントです。ミスをしたから 音をはずしたからということでマイナスしていくということではなく、もっと本質的なところを捉えていきたいと常に心がけています。本当に心に届く演奏に出会った時はこんな嬉しいことはありません。毎年それを楽しみに審査しているかもしれません。演奏は聴衆がいてこそ成り立つものです。コンクールも本番の一つとして考え、おおいに皆さんの成長の場になることを願っています。

   
西川 秀人 先生 ピアノを上達する為には勿論日頃の練習や努力が欠かせませんが、やはり人前で演奏をして聴いてもらう事もとても重要ですね。しかしいざステージに立つと緊張してしまってなかなか思うような演奏が出来ないものです。
これはピアノを習ってる人誰もが経験する事と思います。それを克服するには少しでも多くの機会を作ってステージに立つのが一番良い方法でしょう。
幸いヤングアーチストピアノコンクールは何度か挑戦する事が出来、最初は上手く弾けなくてもそれを生かして再度チャレンジする事が出来るシステムです。又、審査の先生方の書かれた講評もとても参考になりますので多いに活用して頂きたいと思います。
   
羽田野 英子 先生 ヤングアーチストピアノコンクールの審査に携わらせていただき、毎回たくさんの若い人たちが情熱をかたむけてピアノに向かう姿を、誠に頼もしく思っております。ステージでは一人ずつが輝き、どのような個性や才能に出会えるのか、いつもわくわく期待しながら聴いています。
自分自身の感性を研ぎ澄まし、ホールという広い空間で演奏することは、年齢やピアノ歴を問わず貴重な経験となることでしょう。真剣に取り組むことで音楽の奥深さを知り、次へのステップとなります。それは音楽のみならず人の生きる力に通じるもので、きっと将来の社会にも役立つことでしょう。
ピアノは素晴らしい楽器です。その響きやニュアンスは無限にあります。楽譜を通して作曲家の思考に想いを巡らせて、これからも皆様に素直な心で楽しんで演奏していただきたいと願っております。

 
古川 五巳 先生 私は第1回ヤングアーチストピアノコンクールから関わっていますが、現在に至る迄大きな発展をしてきました。その中で変わらないのがこのコンクールのもつ音楽に対する姿勢、考え方です。審査過程での審査員達の偏らない考え方による審査結果など、数あるコンクールの中でも良識あるピアノコンクールと言って良いと思います。
コンクールは良い結果が出て初めてその価値があります。しかしコンクールで良い結果が出たからと言って音楽の勉強が終わる訳ではありません。そのためにはいかにコンクールを上手に利用するかです。選んだ曲を決められた期日迄に仕上げるための勤勉さは、ピアニストには欠かせない要素であり、また将来の大切なレパートリーになります。考えればまだ他にも様々な良い点があると思います。結果に一喜一憂するのは仕方ありませんが必ず自身の成長をどこかに見つけるような気持ちで参加して下さい。

  
山田 彰一 先生 ピアノという楽器には、独りで練習し、独りで演奏して完結してしまうようなところがあります。でも音楽は人と人とをつなぐもの。演奏する人の思いを他の人に伝えることができれば一層価値が高まるでしょう。
コンクールに参加すると、どうしても優劣ばかりが気になってしまいます。でも、聴いている人にどの様に伝わったかを知ることも大切です。
それができることがヤングアーチストピアノコンクールの魅力のひとつです。
専門的なアドヴァイスが書かれた講評を役立てて頂ければ幸いです。また、お友達の演奏を聴くことによって、より客観的に自分自身を評価できるようになることも、更なる成長の糧になるはずです。
毎年チャレンジして、技術と教養を磨いて演奏の質を高めると共に、自分の主張を込めた、個性豊かな演奏を目指してください。楽しみにしています。